両親の離婚によっておこる様々な人間関係を、微妙な心理をもつ主人公を通して描き出した名作
両親の離婚に伴い、母親が看護師の資格取得のために父方の祖母の家に預けられることになった12歳のクリスと7歳のジャッキーの姉妹。父方の祖母に会うのは初めてで、いじわるな魔法使いのおばあさんみたいだと警戒していたのですが、理解あるおばあさんとバーモントの田舎暮らしの中で、クリスは次第に成長していきます。
そんな生活の中、もともとお父さんっ子だったクリスは会えない父への思いが募り、小言ばかり言う母への嫌悪が増すばかりでしたが……。
★ おひさま堂からひとこと
「これは、会いたい人や、なつかしいところへつれていってくれる、魔法の馬車なの」
主人公がそうつぶやいても、この本は題名や表紙絵から想像するようなファンタジーではありません。
12歳の少女の苦しい胸の内が、丁寧に描かれていきます。
それでも、どこか明るさが失われていないのは、おばあちゃんの存在が大きいのかもしれません。
おばあちゃんとの出会いは、主人公だけでなく読者(特に大人の読者)にとっても色々な点で希望の灯になるかもしれません。
書籍DATA
C・アドラー:作 足沢良子:訳 北川健次:画新刊時定価: 不明 現在は1260円
出版 : 金の星社
サイズ : 20cm / 206p
発行年月日:1997/5 第31刷
本の状態
・表紙にはスレ・キズ・少汚れなどあります。
・カバーはありません。裸本です。
・地(本の下側)は油性インク(?)による汚れがあります。(写真2枚目)
・本文は綺麗です。